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東京地方裁判所 昭和31年(行モ)5号 決定

申立人 中央労働委員会

被申立人 東京都知事

主文

被申立人は当裁判所昭和三十年(行)第五号不当労働行為再審査棄却命令取消請求事件の判決確定に至るまで、申立人が被申立人に対してなした中労委昭和二十九年(不再)第十六号不当労働行為再審査申立事件の命令に従い、岡野谷猛、小池京二郎を昭和二十八年一月七日当時の原職又はこれと同等の職に復帰させると共に、同月八日以降右復帰するまでの間に同人等の受くべかりし諸給与相当額を支払わなければならない。

(裁判官 西川美数 岩村弘雄 三好達)

【参考資料】

緊急命令申立書

申立人 中央労働委員会

被申立人 東京都知事 安井誠一郎

申立の趣旨

右当事者間の御庁昭和三十年(行)第五号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決が確定するまで、被申立人は、岡野谷猛、小池京二郎を昭和二十八年一月七日当時の原職又はこれと同等の職に復帰させると共に、同月八日以降原職に復帰するまでの間に同人らの受くべかりし諸給与相当額を、それぞれ右両名に支払え。

との決定を求める。

申立の理由

一、岡野谷猛、小池京二郎は、いずれも、もと被申立人に雇用されていたいわゆる駐留軍間接雇用労務者であるが、両名とも昭和二十八年一月七日米軍予算削減に伴う人員整理により解雇された。

二、右両名ほか一名並びに全駐留軍労働組合東京地区本部は、昭和二十八年三月二十五日東京都地方労働委員会に対して、岡野谷、田村、小池三名の解雇は労組法第七条第一号に違反する不当労働行為なりとして救済申立をなしたところ、同地労委は、昭和二十九年五月二十日付で「被申立人は申立人岡野谷猛、同田村英郎、同小池京二郎を昭和二十八年一月七日当時の原職又はこれと同等の職に復帰させると共に同月八日以降原職に復帰するまでの間に同人等の受くべかりし諸給与相当額を支払わなければならない。」との命令を発した。

被申立人東京都知事は、右命令を不服として同年六月三日申立人中央労働委員会に再審査の申立をなしたのであるが、岡野谷猛、小池京二郎については申立人委員会も初審命令を維持することを相当と認め、同年十二月十七日付をもつて右再審査申立を棄却する旨の命令を発し、この命令は昭和三十年一月五日被申立人知事に送達された。

三、右救済命令に対し、国は、昭和三十年一月十四日右救済命令の取消を求める旨の行政訴訟を提起し、右事件は御庁昭和三十年(行)第五号事件として目下審理中である。

四、もしこの訴訟の解決するまで申立人委員会の発した前記命令の内容が実現されないならば、右の救済をうけた岡野谷猛、小池京二郎の両名及びその家族の生活は甚しく窮乏し、恢復すべからざる損害を蒙ることは明らかであり、ひいては労組法の立法精神は没却されるに至ることになるので、昭和三十一年四月四日の申立人委員会第二百五十五回公益委員会議において労組法第二十七条第七項の規定による命令の申立をなすことを決議した。ここに本申立に及んだ次第である。

疎明方法(省略)

昭和三十一年四月十八日

右申立人指定代理人 小林直人

東京地方裁判所民事第十九部 御中

(別紙省略)

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